授業内容

     第7回では、集合の同値関係や同値類を紹介しました。今回は商集合の概念についてみます。集合\(X\)の同値関係\(\sim \)に対して、同値類全体の集合$$X/\sim =\{C(x) \;|\; x \in X\}$$を\(X\)の\(\sim \)による商集合と呼びます。例えば、整数の集合\(\mathbb{Z}\)に対して、$$x\sim y \iff x-y \text{ は \(3\) の倍数}$$で同値関係を入ると、各同値類は$$C(k)=\{k+3n \;\ |\; n \in \mathbb{Z}\}\;\;\; (k=0,1,2)$$と表せ, 商集合は$$X/\sim=\{C(0), C(1), C(2)\}$$となります。
     商集合は様々な分野で、数学的対象を構成する際に用いられます。今回は商集合や完全代表系について例題を交えながら解説します。また商集合を用いて、整数の集合\(\;\mathbb{Z}\; \)から有理数の集合\(\;\mathbb{Q}\; \)を作る方法も紹介します。

    キーワード : 商集合

    [1] 集合論の授業ノート一覧
    [2] 同値関係と同値類 (集合論)

    参考文献

    [1] 内田伏一、集合と位相、裳華房

    [2] 松坂和夫、集合・位相入門、岩波書店