授業内容

      第1回では、環の例と基本的な性質について紹介しました。今回は、可換環の重要なクラスである「整域」と「体」について解説します。可換環 \( A \neq \{0\}\)を考えます。

    [条件1] \( x, y \in A \) に対して、\(xy=0\) ならば \(x=0 \text{ または } y=0\)。

    [条件2] \( x \in A \; \backslash \{0\}\) に対して、\(xy=1\) を満たす \(y \in A \) が存在する。

     可換環 \( A \) が条件1を満たすとき整域と言い、また条件2を満たすときと言います。例えば、複素数全体の集合 \( \mathbb{C} \) は整域であり、また体にもなります。一方、整数全体の集合 \( \mathbb{Z} \) は整域にはなりますが、\( x=3 \) に対して、\( xy=1 \) を満たす整数 \( y\) はないので、体ではありません。今回は、整域と体の基本的な性質について解説し、またそれらの間の関係について考察します。

    授業ノート

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    参考文献

    [1] 飯高茂、「環論(数学のかんどころ)」、共立出版

    [2] 桂利之、「代数学I 群と環」、東京大学出版

    [3] 木村哲三、新妻弘、「群・環・体入門」、共立出版

    [4] 佐藤篤、田谷久雄、「理工基礎代数系」、サイエンス社

    [5] 雪江明彦、「代数学2 環と体とガロア理論」、日本評論社