可換環 \( A\) とそのイデアル \( I\) を考えます。\( x \in A\) に対して、\( A \) の部分集合
$$x+I=\{x+a \;\ | \; a \in I \}$$
を \( x \) の 剰余類 といい、さらに剰余類全体
$$A/I=\{x+I \;\ | \; x \in A \}$$
を \( A \) の \( I\) による商集合と言います。商集合 \( A/I \) に対して、
\( (x+I)+(y+I):=(x+y)+I \)
\( (x+I) \cdot (y+I):=(x \cdot y)+I \)
により和と積を入れることができ、これらの演算で \( A/I \) は可換環となります。これを\( A \) の \( I\) による剰余環 と言います。剰余環はとても大切な概念で、数学の様々な対象が剰余環を用いて表現されます。今回は剰余環の基本事項について解説します。また整数環や多項式環で剰余環の例を紹介します。
授業ノート
\(\;\)参考文献
[1] 飯高茂、「環論(数学のかんどころ)」、共立出版
[2] 桂利之、「代数学I 群と環」、東京大学出版
[4] 佐藤篤、田谷久雄、「理工基礎代数系」、サイエンス社